僧帽弁は左心房と左心室を隔てています。大動脈弁と同様、弁としての機能が著しく損なわれた場合、僧帽弁が開かない(僧帽弁狭窄症)あるいは逆流(僧帽弁閉鎖不全症) を生じます。一般的な自覚症状は息切れ、胸痛など様々ですが、無症状のまま進行する事も多く、病気の進行によって心不全、不整脈 (心房細動など)、あるいは突然死など、深刻な影響を及ぼす可能性があります。(下のイラストをクリックすると、疾病の詳細がご覧いただけます)
当院では、僧帽弁形成術を積極的に行っておりますが、高度の僧帽弁狭窄症あるいは形成術が困難と判断される重度の僧帽弁閉鎖不全症の患者様には僧帽弁置換術を行っています。僧帽弁置換手術では人工心肺装置を使用し、心臓を一定の時間止め(心停止)、病気の僧帽弁を切除し、新しい人工弁に取り換えます。(手術写真参照)
僧帽弁狭窄症・閉鎖不全症に苦しむ患者様には、心房細動などの不整脈を患っておられる方も多く見られ、この不整脈治療を目的としたメイズ手術も積極的に施行しております。
僧帽弁置換術に使用される人工弁には、大動脈弁の手術同様、生体弁と機械弁があります。年齢、患者様のQOL・生活背景、耐久性や抗凝固剤(ワーファリン)内服による出血の危険性などを考慮して人工弁の選択がなされますが、やはり基本的には患者様の希望を最優先しております。
近年、当院の僧帽弁置換術では非常に良好な成績を修めております(治療実績参照)。当院で僧帽弁置換術を受けられた患者様は、手術後から約2週間で退院されます。今後も心臓外科チームは安全に細心の注意を払い、安定した手術成績に努めてまいります。