心臓血管外科

 動脈瘤とは動脈の一部の壁が拡大・突出した状態の事で、大動脈の直径が正常径の1.5倍(腹部で30mm、胸部で45mm)まで大きくなると大動脈瘤と呼びます。一般的に高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙等により動脈硬化が進む事で、大動脈瘤は進行すると言われています。

 腹部大動脈瘤では腹痛などの症状を伴う事もありますが、無症状で進行する事もあります。瘤の最大径が50mm以上に拡大すると、径の大きさに比例して破裂の危険性が著しく増大する事が報告されています。もし発見された場合は、早期に循環器専門施設での(内科的及び外科的)治療を始める事が重要です。

腹部大動脈瘤の破裂リスクと生存率

腹部大動脈瘤の破裂リスクと生存率

外科的治療(人工血管置換術):開腹手術により瘤化していない腹部大動脈を遮断(一時的に血流を途絶)して、動脈瘤を切開した後に人工血管と呼ばれる新しい血管に取り換えます。

<当院での腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術 (一例)>

①腹部大動脈瘤(術前)

画像1

②人工血管置換術後(術後)

画像2

③人工血管

画像3

①術前CT (腎動脈下・腹部大動脈瘤)
②術後CT (腹部大動脈から両側総腸骨動脈を人工血管に取り換えた後)
③腹部大動脈瘤に対して使用される人工血管

 当院では腹部大動脈瘤の患者様へは、可能な限り小さい傷で済む低侵襲手術 (MIVS: Minimally invasive vascular surgery)を積極的に行っております。MIVSにより、手術後の消化管合併症(術後イレウスなど)の回避や、早期リハビリテーションの開始が可能です。近年、当院の人工血管置換術では非常に良好な成績を修めております(治療実績参照)。

(注:当院での手術写真のホームページ掲載に関しては、患者様の権利・プライバシーに細心の注意を払っております。写真の無断転載を禁止します。)

 胸部大動脈瘤は偶然、健康診断の胸部レントゲン等で発見される事もありますが、多くの場合、無症状である事が知られています(写真参照)。

 瘤の最大径が60mm以上に拡大すると、破裂の危険性が著しく増大するため、発見された場合は早期に循環器専門施設での(内科的及び外科的)治療を始める必要があります。

①胸部レントゲン写真

画像1

②胸部大動脈瘤(前面)

画像2

③胸部大動脈瘤(側面)

画像3

①胸部レントゲン写真
②胸部大動脈瘤(前面)
③胸部大動脈瘤(側面)

 一般的に50歳以上の男性に多く、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙等により進行する動脈硬化症が原因となり、下肢の血管が閉塞(詰まる)する病気です。自覚症状としては、間欠性跛行(しばらく歩くと下肢のだるさ・痛みが起こり歩けなくなるが、しばらく休むと歩けるようになる)が知られており、所見も下肢のチアノーゼ(色が悪い)、冷感(冷たい)、蒼白(真っ白になる)、爪の変形や脱毛等、多岐に渡ります。更に病変が進行すると潰瘍や壊疽(腐る)に至る事もあります。

 もし閉塞性動脈硬化症と診断された場合は、早期に(内科的及び外科的)精査・治療を始める事が重要です。

<外科的治療 (総大腿動脈−膝窩動脈バイパス術の一例)>
 下肢の閉塞が及んでいない中枢(大腿側)と末梢(下腿側)の動脈を露出し、細い人工血管を使用して吻合・バイパスする事で血行再建を行います。(CT画像及び手術写真参照)

①左側閉塞性動脈硬化症

画像1

②バイパスに使用される人工血管

画像2

③末梢側の吻合

画像3

④F−Pバイパス術後

画像4

①左側閉塞性動脈硬化症
②バイパスに使用される人工血管
③末梢側の吻合
④F−Pバイパス術後

術前(左が患側)

術前(左が患側)

術前

術前

術後(左が患側)

術後(左が患側)

術後

術後

<フットケア外来>
 閉塞性動脈硬化症では、内科的・外科的治療の後も更に病気を進行させない為に、長期的な予防やケアがとても重要です。当院の特殊外来では、主に糖尿病による下肢病変(血流・神経障害)を対象としたフットケア外来を開設し、専任看護師2名がケアに当たっています。

フットケア外来専任看護師

フットケア外来専任看護師

(注:当院での手術写真のホームページ掲載に関しては、患者様の権利・プライバシーに細心の注意を払っております。写真の無断転載を禁止します。)